マネジメント

従業員が言うことを聞いてくれない時の3つの対処法。小さな会社の就任間もない3代目社長・専務の場合。

2021年6月26日

悩み

自分の言うことを、従業員が聞いてくれない。
自分の指示に対して、従業員がいちいち文句を言う。
これをやって下さいと言うと、従業員が即答で、できません、それは無理です、と返してくる。

そんな経験ありませんか?

昔の私は、何度もそうした経験があります。
腹立たしくて。
悔しくて。
それでも言い返せない。
叱れない。
そんな自分に、また腹が立つ。

悔しくて、悔しくて、夜眠れないこともありました。
布団の中で、その時の場面を思い出し、こう言ってやればよかった、ああすればよかった、とグルグル何度も同じことを考えては怒っている。

考えるのを辞めようと、自分に言い聞かせてはみるものの。
もう理屈じゃあない。
我慢できない、できるわけがない。

次にこうなったら、「そんなに私の言うことが聞けないなら、会社を辞めて下さい。」と言ってやろう・・・

 

結論

小さな会社の就任間もない3代目社長・専務の場合。

従業員が言うこと聞いてくれない時に、取るべき対処法は次の3つです。

 

1.我慢する

2.自分に実力をつける

3.代わりの従業員を雇い育てる

 

「えー、我慢できないから悩んでいるのに」という声が、聞こえてくるようです。

順に説明します。

 

説明

1.我慢する

 

小さな会社は、従業員数が少ないので、1人でも減ると業務が回らなくなる恐れがあります。

気にくわない従業員を辞めさせてから、慌てて代わりを補充・採用しようとしても、簡単に人は来てくれません。

小さな会社の求人には、十分な準備と時間が必要です。

いつまでたっても人手不足の状態が続くことを覚悟しなければなりません。

そうすると、残った従業員の負担が増え、連鎖退職の恐れまで出てきます。

社内の雰囲気もどんどん悪くなり、業務にも悪影響を及ぼすようになります。

 

これが、あなたが感情に任せて辞めろと言った結果です。

 

そしてこれは、私の知っている会社で、実際に起こったことです。

社長の代が変わった時、新しい社長と従業員の間で揉め事が発生し、売り言葉に買い言葉でヒートアップし、従業員の殆どが一斉に辞めてしまいました。

その後、その会社は潰れることはなんとか免れましたが、残された社長には長い期間に渡り大変な苦労があったようです。

 

だからあなたは、どんなに悔しくても、腹が立っても、我慢しなければならないのです。

 

そして、我慢するにもやり方があります。

a)腹が立ったら、その従業員に何も言ってはいけません。

何も話さずに、その場を立ち去ります。

「辞めろ」とは言わないまでも、違う表現で従業員を責めてしまうことがあるからです。

あなたが一度口に出した言葉は、言われた従業員は決して忘れません。

ずっと抱え込んだまま、何年も後になってトラブルの原因になります。

あるいは一ヶ月後、次の就職先を決めてから辞表を出してくるかもしれません。

「辞めろ」と言ったのと、同じ結果になりかねないのです。

 

b)感情を入れずに「叱る」ことができると思ってはいけません。

様々なマネジメント本の中には、「その場ではっきりと、あるいは別の場所に呼んで、叱るべき」と書かれたものがあります。

就任間もない3代目社長・専務であるあなたは、このアドバイスを真に受けてはいけません。

「叱る」というのは、自分に実力があってはじめてできる行為です。

勘違いしてはいけません。

特に「その場ではっきりと叱る」というのは、創業者へのアドバイスだと思って下さい。

 

c)奥さんがおられる場合は、奥さんにその悔しさ、腹立たしさを打ち明けて下さい。

これが一番です。

奥さんに打ち明けることで、気持ちはぐっと落ち着きます。

ここで大切なことは、あなたの思いを受け止めてくれる奥さんであって欲しいということです。

奥さんには、あなたの話を最後まできちんと聞いてくれた後、こんな風に言って欲しいのです。

なんてひどい従業員なんだ。

あなたは悪くない。

我慢したあなたは偉い、よく頑張った。

自分の思いを吐き出し、奥さんにこう言ってもらって、やっとあなたはぐっすりと眠ることができます。

 

ここで話の主旨がズレますが、だから奥さんはとても大切なのです。

この世の中で、あなたの味方は、奥さんだけです。

極端な例ですが、逮捕された時あなたの身の回りのものを持ってきてくれるのは家族だけ、奥さんだけです。

その為には、日頃の接し方が大切だと気づきます。

奥さんとの関係については、いつか別の記事で書かせて頂きます。

 

 

2.自分に実力をつける

 

あなたの言うことを従業員が言いてくれるようになる為に、あなたが身につけなければならない実力とは、次の3つです。

 

a)利益を出す力

社長・専務の最も大切な仕事は、”利益を出す”ことです。

毎年利益が出れば、従業員の給料を上げることができます。

毎年利益が出れば、従業員は会社の将来に安心し、自分や自分の家族の人生を託せると思います。

”利益を出す”ことのできる社長・専務だと納得すれば、従業員はその社長・専務に従い、ついていこうと思います。

あなたには、”利益を出す”力がありますか?

先代が作った利益を出す仕組みに乗っかったままで、時代に合わせた改善や、新しい仕組みを作ることを怠ってはいませんか?

「日々大変な苦労をしながら努力している」と、あなたは言うかもしれません。

もちろん、関係団体等との付き合いやボランティアばかりに精を出して、本業を疎かにしている社長・専務は論外として。

それでも、”苦労・努力している姿”だけでは、残念ながら従業員は納得できません。

社長・専務には、”利益を出す”結果が求められているのです。

 

b)実務をこなす力

小さな会社の社長・専務であるあなたは、従業員の全ての仕事を一通り理解しできる必要があります。

お客さまとの関係維持、作業技術、資格、営業、経理、諸手続き、等々。

さすがに100%とは行かないまでも、ある程度の実務能力は身に着けるべきです。

”ある程度”の目安は、従業員が万一会社を辞めることになった時、あなた自身が頑張ることで、当面はなんとか会社を回すことができる程度です。

その従業員が退職すると会社が困る、という状況では、あなたは言いたいことも言えなくなってしまいます。

「あなたがいなくても、会社は困りませんよ」と言い切れるだけの実務能力が、あなたには必要なのです。

「何から何までなんて、私にスーパーマンにでもなれと言うのか?」と、あなたは思うかもしれません。

そうです。

小さな会社の社長・専務は、社内のスーパーマンにならなければならないのです。

そもそも、創業者は、何もない所から自分で一つずつ技術を身に着け、雇った従業員にその技術を教えることで、徐々に現場の仕事から離れていきました。

創業者は、当然ながら全ての仕事・作業を熟知していました。

 

今あなたが専務であれば、まだまだ間に合います。

社長に申し出て、従業員の仕事を経験させてもらいましょう。

あなたが社長であれば、専務には、経営に関することだけではなく、未経験の現場の仕事を習得できるよう段取りしてあげましょう。

ただ残念ながら、もしあなたが現場の仕事を習得する前に社長になってしまったのなら、結構大変です。

当面会社を潰さないよう”我慢”しながら、3つ目の対処方法である「3.代わりの従業員を雇い育てる」ことに全力で取り組みましょう。

大丈夫。

いくらでも間に合います。

何故そう言い切れるかというと、私自身が”現場の仕事を習得する前に社長になってしまった”経験者だからです。

 

c)我慢する力

人間ですから、腹が立つ、悔しい思いをする、というのは、しょうがないことです。

私も、もちろん未だに腹が立つし、悔しい思いをすることもあります。

大切なのは、負の感情が沸いてきた後のあなたの態度です。

社長・専務に限らず、人間関係において、怒りをまき散らかした方が負けです。

こうした怒りを我慢する力は、経験を積むほど強くなります。

怒りを我慢できないのは、あなた自身が弱い訳でも、ダメな訳でもありません。

ただ、我慢した経験が、まだ足りないだけなのです。

一つ我慢すれば、あなたは経験が一つ増え、その分我慢する力が強くなります。

最初は大変でしょうが、少しずつ強くなれます。

だから最初の方が肝心です。

できない我慢かもしれませんが、それでも我慢しましょう。

そして我慢できたら、よくやったと自分を褒めましょう。

前述のように、奥さんにも褒めてもらいましょう。

 

 

3.代わりの従業員を雇い育てる

 

いつまでも、ただ我慢しなければならない訳ではありません。

自分を軽んじる従業員がいなくなっても、会社が回る状況を作り始めましょう。

 

a)手順は、以下の通りです。

1.新しい従業員を、あなたが採用します。

2.採用した従業員を、あなたを軽んじる従業員の補助員につけて仕事を覚えてもらいます。

3.その際、あなたは新しい従業員のことを、折に触れ気にかけ、直接面倒をみるようにして、あなたのことを好きになってもらう努力が必要です。

4.新しい従業員が、あなたを軽んじる従業員に感化されて、あなたを批判するようにならないよう気を配ります。

5.新しい従業員が、あなたの味方のまま、完全ではなくてもあなたを軽んじる従業員の代わりができるようになれば目標達成です。

 

この状態になるまで、最低3年から5年は必要だと思います。

その間、あなたは「利益を出す力」の勉強をし、実践することで、徐々に利益を出せるようになっているはずです。

従業員が育ち、利益を出せる。

こうなれば、社内のパワーバランスが変わってくることを、あなたは実感できるようになります。

あなたを軽んじていた従業員の、あなたに対する態度が変わってきます。

”言うことを聞かない従業員がいなくなっても会社を回せること”を目的に、あなたは頑張ってきました。

ところが、この目的が達成される頃になると、その従業員さえもが、あなたの指示にきちんと従ってくれるようになるのです。

それでも尚、あなたの指示に従えないようであれば、その時こそ「辞めて下さい」と言えます。

社内の全てが、あなたの思い通りに動く。

今のあなたにとっては夢のような状態が、あなたの我慢や努力の先にあります。

 

b)注意すべき重要な点があります

従業員を採用すると、大まかに計算して年間400万円の支出となり、利益が減ります。

あなたを軽んじていた従業員が会社を辞めなかった場合、その後の勤務年数から経費と利益のシミュレーションをきちんとする必要があります。

ある年齢から基本給を下げることも、考慮します。

そうして決算が赤字にならないように、注意しなければなりません。

人件費以外で削れる経費はないかを考えます。

その際、経営計画を立て、「これくらい売上も増えるだろう」という考えは危険です。

経費は計画通り実行され、売り上げは計画通りにはいかず下回るのが常だからです。

ここでもやはり、「利益を出す力」が重要だという話に帰結することになります。

 

まとめ

従業員があなたの言うことを聞いてくれない時。

小さな会社の3代目社長・専務であるあなたが、とるべき対処法は次の3つです。

 

1.我慢する。何がなんでも我慢する。我慢できなくても我慢する。

2.利益を出す力、実務をこなす力、我慢する力を、なんとしても身に着ける。

3.経費コントロールに注意しながら、代わりの従業員を雇い育てる。

 

決して簡単ではありませんが、こうした努力の先には、「社内の全てが、あなたの思い通りに動く」状況が待っています。

 

以上で「従業員が言うことを聞いてくれない時の3つの対処法。小さな会社の就任間もない3代目社長・専務の場合。」を終わります。

私もまだまだ修行中です。

一緒に頑張りましょう。

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