悩み
売上げが去年よりも下がっている。
このままだと、今期も赤字だ。
なんとか売り上げを上げようと、努力はしている。
世の中には、経営理念、経営戦略、販売手法、営業スキル、顧客管理、等々、あれが良い、これが必要と、さまざまな手法が溢れている。
そうした本を、たくさん読んだ。
いくつもの高額のセミナーに参加し、いろいろな教材も買って試した。
それでも、結果が出ない。
このままでは、今年は従業員さんにボーナスを支給できそうにない。
夜、会社の今後のことを考えてしまって、よく眠れない。
不安だ。
もう、何をどうして良いかわからない。
結論
売り上げを上げるために、1番目にやるべきことは、「毎月、既存のお客様に、商品を伝える」ことです。
あなたが、この作業を”完全にやりきっている”のであれば、今回の記事は読む必要がありません。
けれどもそうでないのであれば、他のことは全て後回しにして、まず、ここに集中するべきです。
大切なことなのでもう1度言います。
本気で売り上げを上げたいのなら、様々なノウハウは全て後回しにして、「毎月、既存のお客様に、商品を伝える」ことだけに集中するべきです。
解説
努力家で勉強家のあなたは、これまで必死に様々なノウハウを学び、実行してこられたことでしょう。
それでも残念ながら売り上げが上がらなかったのなら、これから私がお話する内容に、じっくり取り組んでみて下さい。
その際、様々なノウハウが入り乱れて、あなたの頭の中が混乱しているでしょうから、この段階で不要なものはあえてそうお伝えします。
売り上げを上げるために、1番目にやるべきことは、「毎月、既存のお客様に、商品を伝える」ことです。
ポイントは3つあって、①既存のお客様、②商品を伝える、③毎月、です。
順に説明します。
ポイント①:既存のお客様
お客様には、新規と、既存、の2種類あります。
売り上げを上げるために最初に取り組むべきは、既存のお客様です。
新規のお客様への取り組みも大切ですが、この段階では不要です。
3代目ともなれば、既に多くのお客様とのお付き合いがあると思います。
この既存のお客様に、きちんとアプローチしていきます。
アプローチの方法は、訪問、DM(郵送)、メール、ライン等があります。
多くのお客様に、均一に、きちんと、アプローチできるのは、DM(郵送)です。
メール、ラインに比べて費用はかかりますが、これはコストではなく、投資です。
この段階では、効率ではなく、効果を優先させる必要があります。
DM(郵送)を実行するには、お客様の最低限の情報が必要です。
お客様の、1)お名前、2)郵便番号、3)住所、の3つです。
そんなことぐらいか、と思われますか?
お名前の漢字は、間違っていませんか?
お名前の方は、亡くなられてはいませんか?
存命であっても、世帯主が変更になっていませんか?
引っ越しされたお客様は、名簿から削除されていますか?
お客様が企業の場合、代表者や担当者の変更を正確に把握されていますか?
値下げばかり要求する方や、クレームばかり言う方は、DM(郵送)を送らないようように区別されていますか?
業種によっては、通常業務内でこの3つの情報を得られない場合もあるでしょう。
それでも、この3つの情報は必要です。
”できない”では、会社は潰れます。
”会社を潰さない為に必要”だと腹の底から理解できれば、あなたならその方法を考え出すことができるはずです。
さあ、全てのお客様の3つの情報が、正確に把握できましたか?
ここが大切なスタート地点です。
3つの情報が正確に把握できていないお客様は、お客様とは言えません。
アプローチしたくないお客様は、名簿から外しましょう。
死去や引っ越し等、お客様の状態は日々変わります。
小さな会社の社長・専務は、従業員任せにせず、自分で毎日、お客様名簿をブラッシュアップすべきです。
ちなみに、新聞のご不幸欄のチェックは、今も私の仕事です。
こうして正確に把握できたお客様の数は、何件でしたか?
ところで、これまで既存のお客様の数を正確に把握されていましたか?
ポイント②:商品を伝える
まず、お客様に伝えるべき商品を決めます。
お客様の場合と同様に、商品にも最低限の情報が必要です。
商品の、1)特徴、2)お客様にとっての効能、3)価格、の3つです。
それが、物であっても、サービスであっても同じです。
ただ、商品に関しては、お客様の場合と異なり、総数の把握はこの段階では不要です。
業歴が長い企業の場合、商品数も大変多くなっている場合が多く、その整理・把握には大量の時間が必要だからです。
また、商品の取捨選択は経営戦略の根幹事項であり、この段階では判断しきれないと思います。
この段階では、3代目社長・専務であるあなたが、日頃の業務の中でよく売れているとか、お客様の評判が良いとかといった肌感覚で、商品群を決めて頂いて構いません。
決めた商品群の商品について、前述の1)特徴、2)お客様にとっての効能、3)価格、の3つの情報を整理して一覧表にまとめます。
念の為に説明すると、”お客様にとっての効能”とは、言い古された表現である「お客様はドリルが欲しいのではない。ドリルで開ける穴が欲しいのだ。」の、”穴”のことです。
さて、3つの情報の内1つでも欠けているものは、”商品”ではありません。
メーカーからもらうチラシには、特徴・機能は書かれていても、価格が入っていなかったり、お客様にとっての効能の説明が不十分であったりする場合が多いと思います。
価格については、ライバルと比較されては困るとか、中には決めるのが面倒とかいう理由で、会社側がチラシをくれるメーカーに対して価格を外すよう依頼していたりします。
いくら体裁の良い、きれいなチラシであっても、商品の3つの情報が入っていないものでは、お客様から反応を得ることは困難です。
そもそもこの段階では、体裁・見栄えは、重要ではありません。
必要なのは、1)特徴、2)お客様にとっての効能、3)価格、の3つの情報を、お客様にわかりやすいように整理して、提案資料としてまとめることです。
この作業も従業員に任せるべきではありません。
会社の中で、最も商品について知っているのは、社長・専務だからです。
目の前にお客様がおられる場合、あなた自身は、その商品群についてどんな説明をされるのでしょうか?
A、B、Cの商品は、どこが違うのか、価格差の理由は何か?、AはBよりも割高だけれどもお客様の状況を考慮すればこういう理由でAをお勧めします、等々。
そうしてあなたが説明されるであろう内容を、チラシ・提案資料にまとめるのです。
言い換えれば、チラシ・提案資料の中で商品について語るのです。
その際大切なことは、ただ1点、”今月中に”作成してお客様に届けるということです。
簡単な作業では、決してないと思います。
それでも、この商品チラシは、”今月中に”届けなければなりません。
”できない”では、会社は潰れます。
”会社を潰さない為に必要”だと腹の底から理解できれば、あなたならなんとしても作成して届けることができるはずです。
時間との勝負ですから、”体裁・見栄え・デザイン”は、後回しで構いません。
良く聞く”コピーライティングのテクニック”も、ここでは不要です(間に合いません)。
商品点数も、少なくてもしょうがないでしょう。
”わかりやすい”ということは、実はとても大切なのですが、できる範囲で、で良いです。
来月出す出来栄え80点のチラシよりも、40点でも今月出すチラシの方が価値があります。
とにもかくにも、”今月中に”商品を伝えるのです。
どれだけ学んでも、悩んでも、お客様に対してアプローチしない限りは、結果は得られないことを肝に銘じるのです。
ポイント③:毎月伝える
今月、商品チラシをお客様に届けることができましたか?
できたのであれば、すごい!素晴らしい!さすがです!
よく頑張りましたね。
残念ながらできなかったとしても、大丈夫、あなたの努力は無駄になりません。
この努力は、正しい方向に向かっています。
努力を続ければ、必ず報われます。
もう少し頑張って、来月こそは届けましょう。
さて、商品チラシを届ける作業は、1回だけではあまり効果がありません。
今後、毎月1回、ずっと届け続ける必要があります。
お客様があなたの会社から商品を買わない理由。
その第一の理由は、「あなたの会社のことを忘れているから」です。
勉強熱心なあなたなら、耳にタコができるくらい聞いているかもしれませんね。
商品チラシを1度届けただけで、「そうそうこれが欲しかった」と言って注文して頂けたとしたら、それは偶然です。
商品チラシが届くタイミングと、お客様が商品を必要になるタイミングは、なかなか合うものではありません。
大切なのは、毎月商品チラシをお届けすることで、お客様が商品を必要になった時、まず一番目にあなたの会社を思い出してもらうことです。
そうして思い出してもらった時、商品の3つの情報がきちんと伝わることで、お客様に購入して頂けます。
この繰り返しによって、やっと売り上げは上がり始めるのです。
まとめ
あなたがこれまで学んできた様々なノウハウでは、売り上げが上がらなかったのなら。
売り上げを上げるために、1番目にやるべきことは、「毎月、既存のお客様に、商品を伝える」ことです。
他のことは全て後回しにして、まず、この作業に集中するべきです。
表現は簡単でも、その作業は簡単ではありません。
それでも、やり抜くだけの価値があります。
作業が大変なので、理屈はわかっても、誰でもやり続けられるというものではありません。
だからこそ、やり続けた会社が生き残るのです。
とくにかく最初が大変ですが、やり続けるうちに、情報が整理・蓄積されていくので、少しづつ楽になります。
この作業は、私が長年やり続けていて、効果を実証済みです。
あなたが、この作業を軌道に乗せることができたら、次の段階に進みます。
以上で「売り上げを上げるために、1番目にやるべきこと。小さな会社の3代目社長・専務の最も大切な仕事。」を終わります。
私もまだまだ修行中です。
一緒に頑張りましょう。